金曜日, 2月 27, 2009

あと一ヶ月

 帰国まで残り一ヶ月となりました。
 今、慌てて論文書いてますが、終わるかなぁ。とかいっちゃって、まだ図面の整理と作文5ページ(ダブルスペース)。引っ越しとかあるしなぁ。ま、がんばろう。
 とかいいつつ、昨日まで4日間こっちのSEMで写真を撮りまくっていました。あんまりいい組織は見つかりませんでしたが、だんだんとSEMの設定が分かって来て、絵のシャープさがどんどん上がっていきました。結構高倍で奇麗な絵が撮れたのでそれは満足しています。いやー勉強になりました。

 人間慣れというものはすごいもので、英語ができず外人という不自由な環境でも長期安定してくると別に不満じゃなくなります。むしろ、ノーデューティーで研究に没頭でき、生活でも異文化体験できるすばらしい環境といえるかもしれません。日本に帰れば、当然の責務であるところの大学運営、学生指導といった大人な仕事が待っています。というか、ほんと今の状況が通常あり得ないわけで、常日頃から大変有り難く感じているところです。贅沢言うなということです。
 こちらの夏は涼しく奇麗な青空で北海道みたいにすばらしい!高知の蒸し暑い夏を思い出すだけでもうんざり。こっちの冬はかなり厳しいですが、ソリやスケートが簡単に楽しめます。寒いのは外だけなのであまり問題ではありません。
 食事もおいしいものをどんどん発見しました。特に肉!肉は牛もトンもトリも全部うまい。家庭料理以外のターキーはだめです。果物もうまい!ぶどうはすごいおいしい。あとだんだんと慣れて来て、サブにチップスとダイエットコークの組み合わせがうまいと思うようになってしまいました。結構太りました。これまじやばいです。
 それからこっちでできた日本人の友達は同年代が多く、考えてみると日本の大学に赴任してからの交流で同年代って少なかったなぁと思うのです。同年代ネタで盛り上がるのは精神衛生上大変よいということを再認識できました。彼らともお別れ。

 仕事や生活がまた一気に変わりますね。ま、日本だからもとに戻るだけですけど、社会復帰までどれくらいかかるでしょうか。どんな風に見方が変わっているのかも楽しみですね。カップヌードルとかコンビニおにぎりとか吉野家とかにいつまで感動できるかもチェックしておこうと思います。

 その前に論文と引っ越し準備!適度にがんばろ。

水曜日, 2月 18, 2009

教会の機能

 ここ一年ほど日曜日に教会の礼拝に行っています。といってもキリスト教徒ではありません。1ヶ月に1回くらいの時もあって全然熱心じゃないです、というか信者じゃないのに行っている。
 一番の目的は朝一番の勉強会に出ることです。次に娘を教会の保育所で遊ばせること。それから日本人の友達とその娘さんと一緒にお昼を食べること。礼拝は実はぜんぜん意味分かんなくて聞きたくもないのですが、ま、みんなで歌を歌うのはそんなに悪いことじゃないですね、というかちょっと楽しい。
 全然洗礼を受ける気にもなりませんし、むしろ絶対キリスト教徒にはならないと思っているほどです。遠藤周作を読みふけって来たのでキリスト教自体には興味はあり、多分抵抗感も少ない方だとは思いますけども。
 で、まぁ、教会というものが米国社会の中で日本人が考えるようななんとなく怪しげな宗教のための施設というよりも、より現実的な社会的機能を持っていると感じられました。こういう施設があったら、ほんと参加してもいいじゃないかと思うような側面が強いです。
 まずなんといっても、朝の勉強会。朝9時から1時間ほど、勉強会が開かれます。ま、普通教会でやる勉強会というのは聖書の輪読会みたいなもので、もちろんうちが行っている教会もそういう勉強会もやってます。が、僕はそれには出たことがありません。うちはそれとはべつにもう一つ、大人向けの勉強会で、キリスト教の見方についてとか、キリスト教信仰の変遷とか、アウシュビッツの手記とか、ユダヤの歴史とか、そういうより一般的な社会科学的だったり歴史的だったりする本を読むという勉強会もやってまして、それに出てます。これは面白いですね。聖書を読むとかの抵抗感はこの場合全くないです。
 参加者はほとんどが老人です。講師?というかレジュメを作って来て勉強会を仕切る人はどうもボランティアでやってるイチ信者のようで、別にプロの研究者ではありません。しかし、この勉強会のために日頃から熱心に勉強していることが分かります。参加している人たちも単に興味を共有しているイチ信者たちです。みんな活発に発言します。なんで米国人はこんなに議論がうまいのでしょうか?話の流れもスムーズで、中身も濃い。日本じゃなかなかこんなに建設的にならないんじゃないでしょうか?ときどき発言をするも、日本じゃこうだったとかすごい偏った話をどうしてもしてしまうのですが、みなさんちゃんと拾ってくれて助かります。
 参加者は老人で話は比較的ゆっくり。若者のような変な単語は出てこず、日本で習ったような英語をしゃべってくれるので、普段より英語がよくわかります。
 言いたいことは教会はまず第一に地域社会のコミュニケーションの場になっているということですね。老人、子供がメインですが、壮年の大人が安心して任せられる場ですね。そして、勉強会のしきり屋さんとか、聖歌隊とか、寄付を集める人とか、ハンドベル隊とか、子供のミュージックティーチャーとか、いろいろ役割が分担されて、社会参加している実感が得られます。僕はただのVisitingなので全部提供を受ける立場で、そういう役割とかは与えられませんが。ときどき小額の寄付をします。
 また、一家の大黒柱が亡くなると教会をあげてその家族をサポートする機能なんかもあったりします。これは信仰うんぬん以前に現実的な問題へのまったくもってセーフティーネットとして機能します。
 子供の保育所もボランティアで行われています。子供への説教もまキリスト教に則ってるんですが、キリストの教えを守りましょうなんてのも、みんなを許してあげようね!みんな仲良くね!という道徳的教育的な側面が強く出てまして、普通にいいです。別にキリスト教である必要はないんじゃないかと思います。
 んでもって、みんなで握手して挨拶するとか、みんなで歌うとか、みんなで朝の報告会とか、そういう時間を共有すると。みんな仲良くなんてそんなのうそくさいですが、それを努力することでコミュニティーの力が強くなることを知っているというか、みんな大人だなぁとつくづく思います。
 ほんとキリスト教というものは米国の教会においてはほんと方便に過ぎなくて社会的な機能として現実的によく作用している、それが国とか政治とかから与えられているのではなくて、地域の住民が主体的に行っている。
 日本だとどうでしょうか?例えばプロ市民みたいな人が行政に申請してNPOを立ち上げるとかですか?ほんとそういうのに全く興味なかったのですが、米国で教会の人々を見て、僕も日本でそういうのに参加して地域社会にちょっとでも役立ちたいかもなぁと思いました。寄付でもいいし。

金曜日, 2月 13, 2009

文化の違い?その2:大学院

 ずいぶん前から間があきましたが、文化の違いその2です。今回は大学院の話です。

 ま、よく知られていることだと思いますが、こちらの大学院は理系ですとほぼ9割以上の学生が授業料免除のようです。いろいろなチャンスがあると思いますが、僕の知っているところでは、指導教員が研究費から肩代わりで払ってくれる。あるいは企業や個人が大学に寄付する奨学制度とか、でしょうか?
 さらに給料をもらっている学生が大多数!これがすごい。一番大変なのがおそらくTAで授業を持つことだと思います。結構準備が大変だし、質問に来る学部学生の相手などで時間が取られます。あとはやっぱり指導教員の研究費から研究活動への給与として払われる。僕があった学生はほぼ全員が給料取りです。一旦社会に出て出戻ってくるなんて当たり前。嫁子供連れで学生をやっている人も多数。そのまんま、研究作業は仕事です。
 であるので、こちらの学生は日本の学生に比べるとかなり大人な感じがします。僕より大人な感じもします。しっかり生活基盤を自ら立てているという自信と自負があります。
 といってもやはり若者なので遊びもするし、怠けもする。ですが、あんまり怠けて成果が出ないと、さすがに指導教員も援助を継続する名目が立てられなくなります。で途中で切られたりすることもあります。そうすると、一旦社会に戻ってお金を貯めに数年出ていくとか、関連する他の先生の研究プロジェクトに混ぜてもらえないか就職活動したりします。一生ものでもないので日本のような悲壮感はなく、しかも意外と結構簡単に見つかるみたいです。この意外と食いつなげるところがポイント。見極めが難しいです。
 こういうのが博士を取った後もポスドクとして続いていきます。トレーニング段階から一人前になるまでのプロセスで、給料が出続ける、しかもある程度市場は安定している。国内だけでなく海外からも多数。すごいですね。アメリカはお金くれて学位を狙えるから日本を出て来ました、という人もちらほらいます。
 教員の方も優秀な学生、ポスドクを取るために研究費を取り続けなければならないです。優秀な学生やポスドクがくれば業績も上がって、また研究費が取りやすくなるという、ポジティブスパイラルに持っていくのが目標です。競争社会ですねー。ときどきそういうのに疲れるみたいです。競争ばっかりはやっぱりだれでも疲れますね。
 翻って我が日本を見返してみたときに、優秀だろうが無能だろうがお金を出して研究労働をさせてもらっているという形になります。特に博士課程後期に至っては指導された記憶もないという人、多数。学振の合格率はDCで2割くらいですか?それも大学に大きな偏りが・・・。残りの8割との差がでかすぎる!で学位を取っても研究職ポジションは非常に限られている。ほんと日本の場合博士になるメリットは非常に少ないと言わざるを得ませんね。リスクの方が高い。
 アカデミアの考え方が根本から違いますね。
 純粋に人はいくつになっても学びたいと思い続ける動物です。そういうことがより広く提供できる環境に持っていくべきだと思います。大学の社会人解放、博士価値の理解(による就職機会の増加)、学費負担の軽減、などなど教育とか学問のチャンスが広がると、最大公約数の幸せ度がより大きくなるのではないかなぁと思います。という方向では米国のほうがよく理解していてシステムもよくできていると思います。日本だってちゃんとそういう方向の活動をしていますが、米国と比べるとまだまだだなぁと思います。なんてたって教育関係経費がGDPの割合で日本はめちゃくちゃ少ない。よくやってるなぁと思います。

火曜日, 2月 10, 2009

アパートメントのネット環境修理

 土曜日、ずーっと気になっていた家のインターネット環境の不調が我慢できるレベルを超えたので、朝から試しにAT&Tに電話してみました。するとちゃんとやってましたが、なんかメキシカンかインド人かノンネイティブのオペレーターでした。もしかして今流行の海外オペレーターかもしれません。
 しかし話はスムーズで、1時間以内にテック(技術者)から電話させるといいます。
 うーん、ほんとは娘のサッカーがあるところだったんだけども、嫁が連れて行くことにして僕はひとり留守番、電話待ち。
 1時間半後に電話がなりました。また同じことを説明すると、明日の夜8時までに技術者がアパートメントに行ってラインをチェックするということになりました。別に部屋で待機する必要はない、周囲のラインをチェックするだけだからみたいな話でしたが、次の日の日曜日はオフィスもしまってるし、アパートの保守のおっちゃんたちもいないので多分ムリじゃないかと思ってました。日曜日はミルウォーキーに行く予定があったので、もうほぼ無視の感覚でした。
 で、嫁と娘がサッカーから帰ってきてすぐ買い物に出かけて、2時ごろ帰宅。すると電話がなりました。
 なんともう作業のおっちゃんが来ました。確かに日曜日の夜8時より早いけど早すぎる。アメリカらしくない。
 またそのおっちゃんが陽気な人で、延々喋りまくっているんだけどスラングのオンパレードでさっぱりわからない。スラングだってことはわかります。
 どうも問題は分かって、古いアパートメントのどっかで電話線の劣化が見られるっていうことみたい。ひとまずおっちゃん一人ですったもんだするもよく分からず、一旦外の車に戻っていきました。ここまで一時間くらい。
 で次戻ってきたときはもう一人助っ人と二人でやってきて、今度は二人で喋りまくり。ちょっと地下見てくる。地下はオッケーだった。中継ボックス見てくる。うーん、わるくないな。ということで、目の前の部屋のコネクターを交換したら直りました。問題はすぐそこにあったみたいでした。ここまでくるのにまた1時間、計2時間くらい作業してくれました。
 「これは経費の範囲内だから、タダだよ、じゃ。」
と言い残して去っていきまして、こっちも
「さんきゅーさんきゅー」
を連呼して見送りましたが、あとで考えたら、あ、チップとか渡すべきだったのではなかろうかと、嫁が指摘してきました。確かに・・・。すっかり忘れてた。

木曜日, 2月 05, 2009

ミズーリ訪問から帰ってきました

 昨晩ミズーリ大学訪問から無事我が家に帰り着きました。
 たまたま僕がミズーリにいたときだけすごい寒波がやってきて、お前が北から寒さを持って来たなー!と定番ネタを言われました。ほんと今日は向うはかなりあったかくなったみたいです。
 組織観察用のサンプルを使ってEnvironmental SEMというちょっと特殊な電子顕微鏡がどんなものかというのを見に行きました。サンプル処理することなくすぐ観察できるのがいいですね。
 3日作業予定で初日は様子見、二日目にちょっと進めようと思っていたところなんとワーキングディスタンスの表示がおかしくなっていてサンプルが検出器に激突。もう終わったと思っていたところ、なんと3日目の朝にちゃんと治っていて、最後の最後でちょろっと面白い観察ができました。
 他の大学をちょっと知ることができたのもなかなかよい経験でした。
 多くの方々にお世話になりました。いやー、よかったよかった。

 ミズーリ大学はコロンビアという大学街にあり、調べてみるとリージョナルエアポートがある。我が街と同じような感覚で、当然その空港を使うものだろうと、Orbitzで調べてみると、我が街からコロンビアまで行くにはメンフィス経由が安いことが分かりました。あまり深く考えず則購入。350ドルくらいだったかな?
 そしたらほとんどの人はそんな空港を使わないとあとから知りました。普通はセントルイスからバスだそうです。知らなかった・・・。地図で調べてみると我が街からコロンビアを飛び越えて同じくらいの距離飛んでメンフィスへ、メンフィスから飛び越えた分を戻る、というような無駄のある経路でした。帰りももちろんその逆ルート・・・。ま、メンフィスなんてほぼ人生で行くことはないでしょうから、話のネタにいいかなってポジティブに捉えようかと・・・、と思ったけど、セントルイスもまた二度と行かないような街だなぁ、とも思いますね・・・。

日曜日, 2月 01, 2009

明日ミズーリ大学にお邪魔

 明日ミズーリ大学にお邪魔します。前々からちょろちょろ言っていた話です。
明日は日曜日で単に前日入りするというだけなのですが、なんとアメリカンフットボールの最高峰スーパーボウルの日とかぶっており、家族のしがらみから離れてスポーツバーで観戦することができそうです。
 サンプル準備やマシンタイムの予約など、いろいろ細かい準備の手配をすっかりやってもらっており、ほんと忙しいところにお邪魔して申し訳ない気持ちです。
 しかも、どうも先方の研究室に日本人の方がいらっしゃったらしく(つい先日、先方の先生からメールをいただくまでまったく知りませんでした。)、これまた大変お世話になる予定です。
 12月の学会で先方の先生と話したときは、一緒にやろうといっていたことはじつはまだあんまり進んでなくて、ほかのことも忙しいんだよなぁみたいなことを言っていたのですが、とりあえず行って見るだけでもいい経験なので、何はともあれお邪魔したいです、みたいなことを言って、それで訪問にこぎつけたので、ほんと見学がてらちょろちょろっとというつもりでした。ところが、どうもこの一ヶ月でサンプル処理法の試行錯誤などもやってくれたみたいで、なんか僕の受け入れ態勢は万全みたいです。いやま、行ってみないとわかりませんけども。なんか思ったより成果が出そうです。
 自分の大学での成果もまま発展して、少しこの訪問先でのデータの重要度が上がってきたところです。思っていた以上に楽しみになってきました。
 とりあえず明日はスーパーボウルを見よう!