火曜日, 1月 13, 2009

文化の違いその1:個人の責任

 さて、先日言いましたが、帰国を前にしてこれまでに感じた文化の違いのまとめをちょろちょろと書いていこうと思います。今回はその第一回目です。題しまして「個人の責任」です。
 あらかじめ断っておきますが、世の中は時と場合によって相対的で、同じことをやってもいいときと悪いときがあります。こっちも人間だからムカッと来るときもあるし、あぁなるほどなぁうまいなぁと思うこともあります。できるだけいいとかわるいとか言わないようにしようと思います。できるだけ、ですけど。

 で、まず今回は個人と組織の関係について、です。
 おおざっぱに言うと、客と会社、客と店、というより、僕とあなたという関係が強いということです。簡単な例ではレストランでウェイターが名前を言って自己紹介して来て、その店で何か頼むのはその人以外ほぼNG、最後にその人向けにチップを渡す、という関係ですね。ま、レストランだと分かりやすいですけど、逆にこれはレストランだけの習慣だと思っていました。

 ところが、それがそうでもなくて結構いろいろなところでそういう関係性を気づかされることが多々ありまして、一般化するのに時間がかかりました。

 たとえばイエローストーンの最初のホテルで、予約変更手続きのトラブルでこっちの予約がキャンセルされていたとき、カウンターで対応していたのは若いおネェちゃんでした。
「こっちは予約変更確認のメールをもらってるんだし、ちゃんとプリントアウトしてここにその確認内容があります。こっちのミスではないことは明らかです。」
というと、
「私のミスでもありません」
と抜かしおった。
「はぁ、でもあなたのホテルのミスでしょう。」
というのは、どうも日本人的な感覚なのではないかと。

 車の事故処理で保険屋と対応するのも全部名指し。修理工場の対応も全部名指し。保険のトラブルを訴える組織にファックス送るのも名指し。なにもかも名指しです。ソニーお客様係御中ということがないですね。なかなか名前が覚えにくいので大変です。服屋とか電気屋とかで物を買うときも、これくださいというと、これまで誰かがあなたの対応してましたか?と聞かれます。うーん、対応してくれたんだけど名前忘れた、ということが何度かありました。
 組織のために一歩引くということがないですね。自分はこんだけ貢献しているということをはっきりさせたいと思ってるんでしょう。当然と言えば当然ですね。ただこのことは日本に比較して組織を代表しているという意識を希薄にしていますね。合理的と言えば合理的ですけど、やっぱり組織として個人に不利益を与えた場合にいろいろ不都合が生じます。あんたの会社のやってることはおかしいだろうとクレームを言うにも誰か名指しで言わなきゃいけない。つまり個人が組織にクレーム付けにくいようになってるんですね。運が悪いといって泣き寝入りすることも多いでしょうね。

 客が日本に比べて辛抱強いのも驚きです。レジの行列も家族でしゃべりながらゆっくり待ってます。当然待つのは嫌なのですが、それを紛らわす努力をしてます。レジも別に慌てるでもなく、他の店員とおしゃべりしたりします。日本人的にはおいこらしゃべってる暇あったらさっさとやれよ、ということなんですが、そうなりません。で、レジではかならず店員と挨拶。
「はろー、はわゆー。」
ですね。客の方から率先していったりすることもあります。
店員も
「欲しいものは全部見つかった?」
とか聞いて来ます。
最初よく聞き取れなかったときは、何か大事なことを言っているのではないかと真剣に聞き直しました。ほとんど決まり文句だと分かって驚きました。
で、別れ際は
「ハヴアナイスデー」
「ユートゥー」
ですからね。
 日本のコンビニで挨拶とかありえないですよね。日本では客はレジうちを人とは見てないんじゃないか?と思わされます。と同様に店員の挨拶もなんか乾いた感じがするかもしれませんね。日本人はもうこういうのに慣れっこなので大丈夫ですが、外国の人はそういう機械的な人間関係に耐えられないんじゃないでしょうか?

ということで、なんとなくですが、こっちでは個人と個人の関係を重視する、と。組織と個人の関係はなかなかうまく機能しないというお話でした。

でわまた次回まで、さようならー。

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