水曜日, 1月 21, 2009

大統領就任式

 昨日はワシントンはすごい人でしたね。国旗がぱたぱたぱた、すごい数でした。自然と国を愛し誇りに思い、迷いなく国旗を振るのはすばらしいですね。

 我がデパートメントでは映画観のようなスクリーンのあるVisual labというのがありまして、そこでオバマの就任演説を上映するというメールが来ました。セントラル時間で11AM。僕もみんなとまざって演説を聞きました。
 科学政策を再編するというところで拍手がわき起こりました。いわゆるグリーン・ニューディール的なエネルギー技術への未来投資という意味だと思われますので、レガシーエネルギーに関わりの強い地球科学系ではむしろマイナス要素かもしれません。もっと広く教育政策という意味では、大学の存在価値が高められる方向にあり、プラス要素と言えるでしょう。
 本当にアメリカ政府もアメリカ国民の実体経済も危機的な状況にあり、ここ数年はかなりの苦痛を強いられることを覚悟せよ、と言っています。しかし、私たちはこれに立ち向かえるんだ!アメリカ再生のチャンスだ。未来の子供たちに、我々は耐え抜いた、そして君たちにバトンを渡すと、誇りを持って言えるようにしよう、と。モノは言いようだとはこのことですね。悲観することに意味などないか。日本もアメリカも実際には同じように成功して同じようにいっぱい失敗もするんでしょうが、基本スタンスが違うとこうも印象が違うものなのかと思います。とはいえ、日本もアメリカも結果的にどっちもすごい国であることは忘れてはなりません。

 もうひとつ大きなことは、やはり黒人大統領であるということですね。夕べのテレビは黒人奴隷の歴史が多く取り扱われていました。黒人たちにとっては、ものすごい大きな変化であると思います。なんとなくですが、テレビのレポーターの黒人が、まだ身に慣れていない誇りを手にした高揚感のような、なにか自信を身につけたように、ちょっとぎこちなくしかし喜びに溢れて、堂々と白人にインタビューをしているような雰囲気を感じました。白人の方も、これまでは別に気にしないよという一歩離れたウワベ非差別主義者ようなスタンスから、本当に黒人をちゃんと見直そうという積極的な平等主義者に変わるようなムーブメントが自然とできつつあるように思われました。本当に黒人の地位は向上するのではないかと感じました。まさに黒人大統領はこういう側面で象徴的といえるでしょう。
 夜のレセプションでオバマ夫妻のダンスに合わせて歌を歌ったビヨンセはインタビューでコメントしながら泣きそうになり、
「あーごめんなさい、あーごめんなさい、恥ずかしいわ、でも本当に私はただラッキーで、こんな風に歴史の一ページに参加できて誇らしいです。」と言う頃にはもっと泣いてました。

 一方日本では畏れ多い国会の場で石井議員が麻生首相に漢字のテストを行っていると、オバマ就任挨拶のすばらしさとのコントラストで紹介されたりしていますが、そういうことは米国でもあるので、そうやって自分を卑下する方向に比較するのじゃなくて、もっと日本のポジティブな面も見て、それで比較すればいいのではないかと思います。例えば米国政府に資金援助の陳情に行くのにビッグ3の社長どもは自家用ジェットで乗り付けて、議会からその飛行機を今すぐ売れと文句言われたとか。日本航空の社長の質素さに米国言論が賞賛しているとか。

追記:今後の困難に立ち向かうに際して、米国民の特性を表現するのに開拓時代の先祖になぞらえて、彼らの辛酸の上に今の私たちの反映があり、今後の困難に対して我々が努力して、同じように子供たちに分け与えようという論調だったようですけども、これは詭弁だよ。今の状況はあった物が失われた自業自得であって、もともと何もなかった西部時代とは違うよ。

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